インターン

2006年3月16日
 さちのバイト先の一つに、痴呆老人を閉じ込めておくようなしなびた精神科病院があります。
 鍵のかかった病室には身じろぎすらしない患者がベッドに寝ているか思えば、ちょっとうごけてベットから転倒しそうな患者は畳敷きのへやで布団でねていて○○サティアンのようだし、廊下でうずくまっている人も沢山いて、ちょっと異様です。

 この病院の常勤医は4人でいづれもご老体。理事長、名誉院長、院長、院長相談役という微妙な肩書きがついています。

 この病院に初めて行ったのは研修医一年目のころ。院長に病棟を案内してもらった時、食堂でつかみ合いの喧嘩をしているおじいさん二人を
「ああ、あのうちの1人は○○銀行の支店長だったんですよ、もう1人は社長。ついでに部屋のはしっこで床に寝転んでるのは警察署の署長」
と紹介してくれました。痴呆とは酷いものです(本人は幸せかも)大抵さちが病院についたころには常勤の先生たちは帰ったあとだったので、他の先生方に会うことはありませんでした。

 そんなある日ナースステーションに1人の先生がいて、カルテを書いていました。さちは「はじめまして、当直にきた鷹揚です」と挨拶をしました。
するとその先生は話をはじめました。
「君は何歳かね、ふーん、若いね。私がそのくらいだった頃は云々。私が大学に入った頃・・・(略)、解剖実習のころ・・・(略)、クラブの活動は・・・(略)、私が神経内科に入ったのは・・・(略)、教授回診で・・・(略)、当直に行ったとき・・・(略)、国家試験は・・・(略)」
相槌を打つこと約二時間

そして最後にこうのたまわれました。

「君は国家試験はいつ受けるの?」

看護師さーん、患者さんが詰め所に迷い込んでますよー!!

さちがこの病院になにをしにきたのか理解していないか、いまだにインターン制度があると思っているかどっちかだと思います。

どっちでもヤバイけど。

コメント

お気に入り日記の更新

最新のコメント

この日記について

日記内を検索