「へき地の医師増員を」 自治体病院で片山幹事長
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20060525-00000240-kyodo-pol

 自民党の片山虎之助参院幹事長(自治体病院議員連盟会長)は25日、東京都内で開かれた全国自治体病院協議会の定時総会で、へき地の自治体病院の医師不足について「実質は年間何千人も(医師は)増えているのに、すべての地域に行き渡らない。離島や山村に行ってくれる医師を増やさないといけない」と述べ、医師増員の必要性を強調した。
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もし政治家が少子化問題で「毎年100万人以上小学校に入学しているのに、小学生は増えない」と発言したら、みんな知能を疑うはずです。しかし医師不足問題ではこれと同じ理論が展開されています。

確かに医師数の年次推移をみると
http://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/ishi/02/tou10.html
平成2年に21万人だった医師数が平成14年には26万人に増えています。これを根拠に厚労省は医師数は足りていて入学定員を増やさなくても、今我慢すればそのうち地方にも医師がいきわたるよ、と地方自治体をなぐさめているのです。しかしこれは「小学生が卒業しなかった場合」の統計なのです。

年齢別医師数をみると
http://wwwdbtk.mhlw.go.jp/toukei/youran/data17k/2-46.xls(エクセル)
40代の医師が一番多いことがわかります。ちょうど昭和50年代の卒業生にあたり、無医大学県をなくし、一校あたりの入学定員が120人と医師数を増やそうとしていた頃です。しかしその後医師過剰がさけばれ、入学定員が減っていきましたから30代は5000人減(500人/年の減員)、20代に至っては1万4000人の減(1400人/年の減員)になっているのです。

小学校に入学する子供が年々減っていくと小学生の総数は減っていきます。医師になる人が年々減っていくと医師の総数は年々減っていくはずです。統計上医師の人数が増えているのは医師免許に定年がないためで、実際に増えているのは高齢医師数です。逆に当直をこなし激しい病院勤務に耐えられる40歳くらいまでの医師数はどう考えたって減少していく一方です。単純に考えると年1400人ずつ減っていくわけで、女性医師の割合や学士や再受験の高齢入学が増えるとさらに状況は悪化していくのです。

制度的に明らかに減っていく医師数、それに伴って軋む僻地医療。その矛先は何故か新臨床研修制度であり、研修医の都会志向、楽な科志向のせいにされています。厚生労働省はもっともらしい言い訳をして、政治家もマスコミも医師すらも騙されて踊らされています。さながらみのもんたに騙される患者のようです。

自己責任

2006年5月17日
 今日は流行りものの病を診ました。
 その名も「白いんげん豆中毒
 テレビで白いんげん豆ダイエットとして紹介され、何百人もの人が腹痛、嘔吐、下痢に悩まされたアレです。あんなに大騒ぎになっているのに、まだやるかって感じです。

 少し白いんげん豆中毒について説明いたします。白いんげんに含まれるファセオラミンという成分がダイエットに効果があるといわれています。ファセオラミンは加熱に弱いので「2〜3分しか焙ってはいけない」と放送されたよう。一方白いんげん中毒の原因として考えられているのがレクチンという物質で、強い粘膜刺激作用があって、ナメクジは死なないかもしれないけどねずみは殺せるほどの毒性物質です。加熱すると分解されるのですが、焙りが甘いので食中毒を起こすと考えられています。ちなみに有効な治療法はなく、対症療法のみ。

 もちろん、社会人として、点滴とか吐気止めとかしてあげますが、心の中では

嘔吐と下痢でダイエットできてよかったじゃん

と思ってました。

 それにしても、最近無責任な人が多いですね。テレビ番組を鵜呑みにして実行して、結果が悪かったら抗議。正直、実行した時点で自己責任だと思うんですがね。ヒューザーが地方自治体を偽装見逃しで訴えているのも、ライブドアの株主がホリエモンを訴えるのも同じようなもの。自分の責任を他人に押し付け。

 ちなみにさちはこの情報化時代に
「よくわからないから先生に全てお任せします」というのも無責任だと思います。わかろうとする前に諦めてるもの。
 厚生労働省は29日、今年の医師国家試験の合格者を発表した。受験者8602人中、合格者は7742人で、合格率は90%だった。

 合格者のうち女性は32・7%。男女別の合格率は、男性が88・5%だったのに対し、女性は93・3%だった。大学別では、防衛医大が47人全員合格の100%。新卒者の合格率は93・9%で、既卒者は57・3%だった。合格者のうち最高齢は64歳の女性だった。
http://www.yomiuri.co.jp/iryou/news/iryou_news/20060330ik05.htm (YOMIURI ONLINE)
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さすが防衛医大・・・と思ったけど、47人って。
入学定員75人らしいんですけど・・・30人弱どこに消えたの?

1 サマワ
2 演習で死亡
3 留年

まあ、普通に考えて3なわけで、すると留年率は少なくとも37%。
大丈夫なんだろうか、防衛医大。

さて、3月も最後の週に入り、研修医たちは「引越しのため」お休みです。引越ししないはずの人たちもついでにお休み。
研修医がいなくなると、雑用する人がいなくなって大変かと思いましたが、思いのほかラクチン。カンファの時間が1/3になったのが大きい。回診の時間も半減するため、他の仕事がはかどる、はかどる。

さらに今週末は学会が重なって大学は閑散としています。

ああ、平和。
 先週超田舎の診療所にバイトに行ったら、いつもより患者さんが少ないんです。暖かくなったからなのかと思っていたら、院長曰く

議会選挙があってね、みんなそっちにいっちゃったから
*こういう田舎では選挙時にはみんな各陣営の事務所に行って昼間から酒をふるまわれてすっかりお祭り状態。病院に行ってる場合ではない。ちなみに居酒屋なんかも開店休業状態となる。ただで飲める場所に行くわな。公職選挙法?なんすか、それ。

やっぱ、普段来なくてもいい人たちなんだ・・・。なんかもう、病院通いはおらが村最大の娯楽って感じだもんなぁ。そんなだから合併すらできないんだ・・・。

まあ、11時間wボーっとしててお金もらえるんだからよしとしよう。

インターン

2006年3月16日
 さちのバイト先の一つに、痴呆老人を閉じ込めておくようなしなびた精神科病院があります。
 鍵のかかった病室には身じろぎすらしない患者がベッドに寝ているか思えば、ちょっとうごけてベットから転倒しそうな患者は畳敷きのへやで布団でねていて○○サティアンのようだし、廊下でうずくまっている人も沢山いて、ちょっと異様です。

 この病院の常勤医は4人でいづれもご老体。理事長、名誉院長、院長、院長相談役という微妙な肩書きがついています。

 この病院に初めて行ったのは研修医一年目のころ。院長に病棟を案内してもらった時、食堂でつかみ合いの喧嘩をしているおじいさん二人を
「ああ、あのうちの1人は○○銀行の支店長だったんですよ、もう1人は社長。ついでに部屋のはしっこで床に寝転んでるのは警察署の署長」
と紹介してくれました。痴呆とは酷いものです(本人は幸せかも)大抵さちが病院についたころには常勤の先生たちは帰ったあとだったので、他の先生方に会うことはありませんでした。

 そんなある日ナースステーションに1人の先生がいて、カルテを書いていました。さちは「はじめまして、当直にきた鷹揚です」と挨拶をしました。
するとその先生は話をはじめました。
「君は何歳かね、ふーん、若いね。私がそのくらいだった頃は云々。私が大学に入った頃・・・(略)、解剖実習のころ・・・(略)、クラブの活動は・・・(略)、私が神経内科に入ったのは・・・(略)、教授回診で・・・(略)、当直に行ったとき・・・(略)、国家試験は・・・(略)」
相槌を打つこと約二時間

そして最後にこうのたまわれました。

「君は国家試験はいつ受けるの?」

看護師さーん、患者さんが詰め所に迷い込んでますよー!!

さちがこの病院になにをしにきたのか理解していないか、いまだにインターン制度があると思っているかどっちかだと思います。

どっちでもヤバイけど。

昔と今

2006年2月21日コメント (5)
 さちが研修医だったころ、大学病院の看護師さんはあんまり働きませんでした。

 点滴を取ったり、静脈注射をするのは医者の仕事。
 夜4時に点滴が漏れても主治医コール。
 輸血をつなぐ(輸血パックに点滴の管を刺すだけ)のも医者の仕事。
 抗癌剤をつなぐのももちろん医者の仕事。
 普通の採血も医者の仕事。
 検査室まで検体を持っていくのは医者の仕事。
 薬剤部や放射線部や材料部から何かもってくるのも医者の仕事。
 患者をCT室につれていくのも医者の仕事。
 動きの悪い患者を入浴させるのは医者の仕事。
 清拭も医者がつくように。
 同じく動けない患者のベッドのシーツを替えるのは医者の仕事。
 シーツのはしっこは三角折にしなくてはならない。
 患者が自分でご飯を食べられなかったら主治医が介助。
 CVは1人で入れろ。
 ムンテラには忙しくて同席できない。
 
 多分どこでも大学病院ではこんなもんだったようなんだけど、今思い出しても一体何で看護師さんたちが忙しかったのかよくわかりません。残業には厳しいらしく必ず定時で帰ってました。どうでもいいけど、さちの研修医時代の午前中の業務は採血と清拭とシーツ交換と体重測定でした。市中病院では看護師さんがおんなじことしてました。一番わけがわからなかったのはそんな状態なのに看護師さんに渡す書類入れに「いつもありがとう!(医者一同より)」とかかれた紙がはってあったこと。
 看護師さんにコビをうるのが得意な先輩がいて、看護師さんたちにはいつも忙しいよねと理解を示すのに、医者に対しては3日連続でも当直しろ!などと言ってました。最近「研修医がなついてくれない」と悩んでましたが、当たり前です。

 でもさちが外の世界で数年うだうだして帰ってきたら意外と変わってました。
 点滴、注射は看護師さんが全てやってくれます。
 輸血もつないでくれます。
 清拭とシーツ交換はしなくてすむようになりました。
 体重も看護師さんが測ってくれます。
 検査だしや検体運びも助手さんがやってくれます。

 単純に雑用にまわせるだけの医者がいなくなっただけなんですけどね。医者が少なくなった分べつにさち達の仕事が減ったわけじゃないし。

 でもこの間夜に血液培養とって、研修医たちに片付けさせる間に検査室に検体を出しに行こうと思ったんです。そしたら看護師さんが「先生、検体ですか?出しておきますよ」と言ったのでおおっ!と思ったら次の瞬間・・・

 そこの研修医のせんせー!検体出してきてー!

やっぱり根本的には変わってないのかも。
 週に一度か二度、薬や医療機器の説明会があります。要は「宣伝」の場で大抵お弁当やボールペンが振舞われます。

 国立病院にいた頃は業者から賄賂をもらう行為として全面禁止となってました。弁当はともかくボールペンがなくて困った覚えがあります。独立行政法人になってからは少しはゆるくなったのでしょうか?

 さちはお弁当のみに集中しているのでw聞いていないことが多いのですが、一番印象に残っているのが「直腸管」の説明会。

直腸管とは肛門に管をつっこむと便が管を通って容器にたまり、おむつ交換がいらなくなるといったかんじの商品。それをお弁当を食べているみんなの前で説明するんですよ。

「それでは当社の○○○○の挿入方法をCGを用いてご説明します!」
そして肛門に管が挿入され、便が流れ出てくるCGが・・・
「もし便が固く詰まりました場合にはこちらから生理食塩水を注入いたしまして、流していただくようになっております」
画面には水が流し込まれ便がまた流れ出てくるCGが・・・

もう一つはパルスオキシメータの説明。

当社の▼▲ではSpO2が65%までほぼ正確に測定できます!

激しく要らない、そんなモニター。
前回書いたように理由はどうあれ、とりあえず地域医療は崩壊しつつあります。

広島県庄原市では産婦人科医不足により医局からの医師派遣が途絶え、外来はなんとか続けているものの入院や分娩はできなりました。庄原市内での病院での分娩は出来ない状態で、来年度も広島大学の産婦人科入局者が少なく病棟再開のめどはたっていません。
新聞やテレビでは大騒ぎ。地域医療崩壊の代表例として紹介されています。

しかし本当に庄原市に産婦人科が必要なのでしょうか?

庄原市の中心から20kmほど行くと三次市の中心に行けます。しかもこの間には中国自動車道の庄原ICと三次ICがあります。
日本道路公団のドラナビによると所要時間は17分。三次ICから3分で市立三次病院に着きます。
庄原市の中心からたった20分、東城からも40分弱で産科も小児科もあり、麻酔科医の常勤までいる病院につけるのです。

救急車で一時間くらいでつけるなら充分です。
その間に大出血したらどうすんの!?とか言う人がいるかもしれませんが人口4万人の高齢化の進んだ地域でそんな例が一体何年に一例あると思いますか?そんなレアケースにまで対応しなければならないなら、瀬戸内海に浮かぶ有人の小島に一軒ずつ病院をつくらなきゃならんでしょ。

そもそも出産する20代から30代の女性がテレビ画面からも陰気くささのただようあの市立病院でお産をしたがるとは到底思えません。
地方では自分の住んでいる場所に100〜200床くらいの病院があっても「あそこは好きじゃない」と行って50kmくらいの距離をはるばる超えて他の地域の病院に通ったり入院したりする人が珍しくありません。それが出来るのだから、その病院たぶん要らないんです。その自治体の唯一の病院だったとしても。

さちの主張は少々乱暴ですが、なくても別に困らないはずの病院が沢山あるはずなのです。
医局も人を引き上げるときは症例数が少なくて暇な病院から引き上げていきます。
つまり「医局から医師派遣をやめられた病院の診療科」はもともとあんまり需要のない診療科だと考えられます。

そんな病院はもうさっさとあきらめて無くすか、他の病院と統合するかしたほうが、費用効率や人員配置の面からも有利です。
(田舎の病院は事務員やコメディが地域住民であることが多く、なかなかつぶすのが難しいんだけど)
それに手元にお金がなければ使わずに済むように、近くに病院がなければコンビニ受診も難しくなり医療費が抑えられます。
なにより田舎に病院がなければ研修医が都会に行っても大丈夫!
地域のプライマリケアは開業医にがんばってもらいましょう。
夜はどうしても苦しくなったら救急車を呼べばよろしい。救急車は帰りは乗せてくれないから遠くの病院に運ばれたら大変。軽症患者の救急車要請も抑制できていいことだらけじゃないですか。

やっぱちょっと乱暴かな。
地域医療の崩壊の危機が大問題になっています。理由は二年前からはじまった臨床研修制度で研修医が都会に流れていったからだとか。

その理由自体は別に間違っていないと思うのですが、そもそも臨床研修制度とはなにを目的としてはじまったのかちょっと復習してみましょう。厚生労働省のサイト
http://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/isei/rinsyo/index.html
を参考にして簡単に要約すると厚労省はこう考えていたようです。

研修医の多くが大学医局に所属するために、専門はできるがプライマリケアができなくなる。
プライマリケアができないから夜間救急のたらいまわしなんかが起きるんだ!
そもそも研修医がアルバイトで夜間に当直するから医療事故が絶えんのだ。

ゆえに

医局に所属させずにローテートさせれば新生児(資料に本当に書いてある)から老人まで診られる医者ができあがるはず。
それぐらい診られれば、夜間救急だって地域医療だって楽勝。これらの問題は解決する。
小児や産科も診られるわけだから、小児科産科不足も解消する。
ついでに医療安全について厚労省が本気で考えているように見せるため研修医のアルバイトは禁止する!
悪の組織「医局」もこれで終わりだ、ふはははは。

そして二年の時が流れました。

地域の病院は一部閉鎖されたり売られたり。へき地医療は虫の息。
産科は不足。小児科も激不足。
救急も一時、開業する前に義務化しようと血迷うくらい人手不足。
一向に減らない医療事故。(報道されている件が事故かどうかいつも微妙だが)
アルバイトせずに生活できるように補助金一杯出したのに、さちが研修医のころとほとんど変わらない研修医の給料。
医局に頭下げるのがイヤだからつぶしてやろうと思ったのに、人手不足で結局教授に頭を下げにいく派目に・・・。

厚労省「なんでだよー!ボクの作戦は完璧だったはずなのにー!それもこれも研修医が都会志向だからいけないんだ!」

ことごとく想定外(厚労省にとって)な事態が巻き起こった新臨床研修制度。
「ゆとり教育」並みに短命になるかもしれませんね。
さて、Y染色体で検索しているとこんなところを発見しました。
http://nikkeibp.jp/style/biz/topic/tachibana/media/051130_tennou/
立花隆先生のコラムです。これの5ページ目にこんな記述があります。

神武天皇のY染色体を受け継ぐ人々はゴロゴロいる

そこでこれを説明するためにこんな計算を行ないます。
「計算を簡単にするため、各代子供二人しか作らなかったとする。すると、子孫の総数は2の累乗ということになる。」
「つまり神武天皇がたった二人の子孫だけを残し、その後の世代も各代二人の子孫しか残さなかったとしても、神武天皇の子孫は今、2の100乗人いるということである。」
「(100代後の神武天皇の子孫は)日本の総人口(1億人とする)の1兆倍の100億倍というとんでもない数字になる。」
そしてこう結論付ける。
「子孫の半分は女性だろうからそれを半分にする、子孫同士の結婚によるダブリを差し引くなどの、いろんな条件をつけての割り算、引き算をたくさんしていったとしても、神武天皇のY染色体を受け継ぐ人々が、今の日本にゴロゴロいるはずという意味がわかるだろう。」

ほう、なるほど!と思った人手を挙げて!さちも一瞬だまされそうになりました。

でも立花先生、この計算ヘンだよ。

もう一度冷静になって考え直しましょう。
神武天皇以下の子孫たちがみんな子供二人ずつ作るとします。そして子の半分は女性だとします。
すると神武天皇の子供は男と女一人ずつになります。もちろん神武天皇のY染色体を受け継ぐのは男子のみ。
さて、この子供たちがそれぞれ一男一女をもうけます。するとこの4人の孫のうち男は二人いるけれど神武天皇のY染色体を受け継ぐのは1人だけです。そう、この条件下では100代たとうが200代たとうが神武天皇のY染色体を受け継ぐのはたった一人だけ!
この説明で上記の結論には至らないのです。ちなみに飛鳥奈良時代の日本の人口は500万人くらいだそうです。現在1億2000万人ですから24倍になったわけです。単純に考えれば神武天皇のY染色体をもっているのは24人くらいかもしれません。
ただ、何人もの側室がもてるほどの財力がそなわっていたため、子孫が残せるチャンスは他の人たちより多かったはずで、そういうイミでは神武天皇のY染色体を持っている人はこれよりは沢山いるかもしれません。

ここで気づいたんですけどこの1500年あまりで日本の人口は24倍にしかなっていないんですね。戦争や飢饉で沢山死んだことを無視すると、この1500年を平均すると日本の女性は一人当たり2.09人しか生んでないことになります。一夫一妻制だと女の子が二人生まれたらその父親のY染色体は即断絶。結構きわどい遺伝レースですね。しかも少子化社会になってバンバンY染色体消えていってるんでしょうね、今。

いろいろ書きましたけど、さちは別に皇位の正当性をY染色体に求めなくてもと思います。

 三笠宮殿下が女性の皇位継承について異論を表明されているそうですね。政府や宮内庁はややこしいことになるから黙っていてくれ!と頼んでいるみたいですが、自分の家に関係することなら興味津々になるよねぇ・・・。まさか皇太子、秋篠宮、常陸宮が控えているなか自分が皇位をつぐなんてことは考えてないとは思いますし、さちだったら発言したくてウズウズしちゃう。それに愛子さまが皇位をつぐことについて皇太子殿下はどう考えてるのかこっちだって聞いてみたいような。

 とりあえず、三笠宮殿下が女性天皇に異論を唱える理由のひとつが
「神武天皇以来受け継がれてきたY染色体が損なわれる」
てなわけで、これが真っ当なようなそうでないような微妙な感じがします。

 たしかに、Y染色体は父親からしか伝わらない。常染色体のように交差しないしなぁ。で、調べてみたらY染色体の遺伝子座は500代で一回突然変異をするらしい。500個遺伝子座があったら1代で1個の遺伝子座が変異していく。と考えると100代たつと20%の遺伝子座が変異してしまうわけですね。

手始めに今上天皇が今神武天皇から何代目なのか調べていくと・・・
http://page.freett.com/keizusoko/contents_html.html
にみやすい天皇家の系図が載っているので今上天皇からY染色体(お父さん)をたどってGOGO!東山天皇で10代。貞成親王で20代、高倉天皇で30代、醍醐天皇で40代、押坂彦人で50代、日本武尊で60代・・・よーしどんどん逆流!あれ?継体天皇のお父さんが載ってないんですけど。これじゃ、神武天皇までたどり着けない。

この系図が間違っておるのかい?つーことで継体天皇を検索。どうやら、歴史の学者の間では継体天皇のとこで王朝が交代しているってのが有力みたいね。応神天皇の玄孫だとか日本書紀に書いてあるみたいだけどだれも信じちゃいねぇ・・・。たしかに奥さんは天皇の娘なので、血統は続いてるんだけどY染色体は途絶えてしまってる。ああ、これじゃ「神武天皇のY染色体はとうの昔にとだえちゃってる」って結論でおわりになっちゃったよ。今までの前置きは一体。
・・・気を取り直そう。ここは継体天皇は応神天皇のY染色体を受け継いだ玄孫だという説を信用(つうか捏造)しよう。で、遡ると神武天皇まで72代、Y染色体は受け継がれているのですな。ふう。

で、先ほどのY染色体の突然変異の計算に戻ります。72代でY染色体の遺伝子座のうち14.4%が変異してしまっていることになります。うーん、こんなに違うのに「同一の」染色体なんて言っちゃっていいのかなぁ・・・。500代たったら100%変異しちゃうんだけど・・・。(まあ、これは数字マジックなので、塩基配列の違いで言えば0.014%くらいの違いにしかなりません。それはそれでY染色体なんて誰のでも一緒ってことになるけど)

責任の所在

2005年12月24日
今日もせっせとアルバイト。

すると救急隊からこんな電話。
「あのーちょっとご相談したいんですけど。今朝から言うことがおかしくなったっていう患者がいるんですけど・・・急性の痴呆ってあるんですかね・・・?脳血管障害かもしれませんけど・・・どこに運んだらいいと思います?

し・る・か!!

搬送先までお任せとはびっくり。
 最近大学当直でストレスたまりまくりです。

・・・いえ、あれは勤務でした。実は独立行政法人になってから当直は労働基準法における「電話番や病棟の見回り」にはあたらないとしていつ頃からか「勤務」として扱われることになったんでした。
 具体的には二交代制になったようです。帳簿上は8時から20時までと20時から翌日の8時までの二交代。しかし空前の人手不足のため実際の勤務状態は以前と変わりませんてか、変えることができません。ただ単に当直日と翌日の8時から20時まではタダ働きになったってことです。それは土日でも同じ。そして最も重要なことは

当直料がつかなくなった

ってことです。だって勤務時間なんだもん。
月に6回も大学で当直してるのに、基本給+超過勤務5万円程度。総支給額は30万円を超えることはなく、当然ボーナスもなければ福利厚生もほぼないに等しい・・・。アルバイトに行かなけりゃ、年収300万円時代を素でいってしまう・・・。

ま、それでも研修医よりはマシなんだけど。
ついでに国立病院で研修医してたときは毎月14万800円だった。年収168万円。もうちょっと少なければ税金払わずに済んだのに(苦笑)

 しかしたまにちょっと考えてしまう。一体何のためにこんな低賃金で危険を冒しているのだろう?地域社会のため?(いえいえ、我々はサービス業だし)医局を守るため?(誰のために?働かないスタッフのためにか?)自分のしたいことをするために?(他でもできるし!)

 労働基準法を遵守って結局人件費抑えるためか・・・。一日2万円の当直料を20人の当直に対して払わずに済んだら一年に一億4千万ほど助かるもんね。

 あーあ、やになっちゃうなぁ。

ガンマ団総帥並み

2005年11月10日 趣味
たれぱんだ、かわいいですね。
やわらかそうでいてずしっとしてそうで。

たれぱんだのクリアファイルをもらいました。
某製薬会社の宣伝用です。ちょっと嬉しかったです。
それにしても、なぜたれぱんだが・・・?

MR:たれぱんだとタケプ○ンの語呂がにているということで

たれぱんだ

タケプ○ン

何度も繰り返してしまうさちなのでした。

生と死の境界

2005年10月18日
 当直の交代のとき申し送りをすることがあります。(大学とかは必ずする)大体バイト先だと急変する可能性のある人だけです。で、この間のバイト先で

前の当直医:昼間にそこの非常階段でクビをつった患者、何とか蘇生して人工呼吸器つけてるけど・・・急変するならその人くらいかなぁ・・・

急変しちゃイヤです

 非科学的ですけどもしこのままなくなられた場合、非常階段で地縛霊になりそうじゃないですか。例え回復の可能性がなくても生きていて欲しい・・・ってまてよ。

 ヒトは死ぬと三途の川を渡ったり、花車にのってどっか行ったりするらしいんですけど、こういう意識の戻らない患者の意識ってどこに行くんだろう?あの世なんてないんだよ、死んだら死体は物、それだけ。って割り切ればいいんだろうけど、ちょっと気になります。

 臓器移植問題などに関連して人間が定義つけた脳死なんてものもありますけど、あくまで意識も脳幹機能も回復の見込みがなく死にむかって片道切符しかなくてしかも差し迫ってる状態を見分けるのを人間の都合に合わせて定義したのが脳死判定であって、それは生と死の境界を明確にあらわしているわけではありません。

 心臓が動いてるのに死んでるということがさちにはちょっと良くわかりません。まあ、臓器移植さえなければ心停止を待たずに死亡宣告をする必要はないんですけどね。当然。
意識障害があるとかいう男性が救急搬送されました。

この方以前は結構な大酒家だったようですが、体を壊してからは断酒。以来1滴も酒は飲まなかったもよう。ところが最近不眠ぎみで開業医に眠剤でももらえないか頼んだら、その医者こともあろうに「お酒でものんで寝たら?」と答えたらしい。

で、寝酒をあおって就寝・・・。長い間飲んでいなかったため、すっかり酒に弱くなり、高いびきをかいて希望通りに寝ていたもよう。

そこへ知り合いがたずねてくる。いびきをかいて寝ている患者。起こしてみると「うーん」というばかりではっきりしない。こんなことは今までなかったのに!

意識障害だ!脳梗塞か?脳出血か!?

というわけで救急車が呼ばれたわけ。

折角寝ていたのに救急車で運ばれ、点滴されて無理やり起こされ、病院関係者に謝りながら家族と共に帰っていったのでありました。

最近の男って軟弱ね

2005年9月30日
いろいろなところに当直に行くといろんな患者をみるものです。
ある外科病院に当直にいくのですが、外科病院でも熱が出ただの吐き気がするだのといった患者も多くみます。もちろん怪我をした人も多くみます。特に溝におちて怪我をされる方が大変多く、是非溝にはふたを閉めておいてほしいと思っています。

そんな中、一人のおっちゃん来院。問診表には「左の小指を怪我した」とありました。

おっちゃん「小指をはさんだんよ。この指はもうだめじゃ」
さち(表面上けがはないよなー)「レントゲンとってみましょうか」
おっちゃん「ええんじゃ。とにかくわしがだめじゃよーるんじゃけぇ、もう切り落とそう」
さち「切り落とす?そこまでしなくても・・・」
おっちゃん「わしがえーよーるんじゃ!!」

・・・そういえば先輩の話を思い出しました。土地柄にまったくふさわしくない広島弁。そう、この人落とし前をつけなきゃいけないヤっちゃんです。自分で落とす勇気?がないため麻酔をかけて落としてほしいのです。

できるか、ぼけぇ!!

お帰りいただきました。
ほかにも率直に「麻酔だけかけてもらえないか」聞いてくる人とかたまにいますがダメです。

自分で落としてきたら断端形成してあげてもいいけど、やっぱり自分で落とし前つけなよという気分にはなります。あとどうにか時間内にやってくれないものかと。

高齢者医療保険制度

2005年8月17日
高齢者医療保険制度というのができるかもしれないようです。
高齢者が増え、若い人たちの医療費負担(保険料)が大きいことから高齢者だけは別の保険制度にしよう、というもの。
高齢者は現在扶養家族となっている人は保険料を払わなくていいのですが、新しい保険では全員払います。それでも足りない分は税金と若い人たちが払う連帯保険料でまかないます。

それって本当に若い人たちの負担は減るんですか?という疑問がふつふつと沸いてきますよね。
04年度の70歳以上の高齢者の医療費は12兆8000億円。
70歳以上の人口は約2000万人。
一人当たりの医療費は64万円。
国民保険の保険料は自治体全体でかかった医療費から税金からでる補助金を引き、世帯数で割ったものになっています。自治体によって違いますが大体3万円前後。高齢者がみんなこれと同じ額を払わされるとして年間36万円。
高齢者のみの世帯は20%ですから高齢者がみんな保険料を納めるとして大体5億から6億の増収となります。

・・・兆単位の話をしてるのに。増収が5億から6億・・・・

つまりこんな計算したってムダなのよ。
なぜなら医療費の総額が変化せず、保険料の徴収範囲を広げても微々たる増収額で、税金からの補助金が増えない限り連帯保険料という明目で若い人たちの負担が増えるだけ。だったら事務などの手間やコストを二重にしないように今のままでいいよ。

抜本的改革ってなんなんだろうなー

薬の原料

2005年7月28日
薬ってどうやって作るのでしょうか?
いろいろ合成して化学反応で・・・というのが一般的なのでしょうが、血液製剤のように何かを加工、処理して作られる薬もあります。

今日ご紹介するのはミラクリッド
急性膵炎を治したり、ショック時の腎臓などの臓器血流を増加させ、臓器障害を予防するお薬です。まさにミラクルドラッグ、ミラクリッド。

このお薬、ヒトの尿を精製した蛋白でできています。

尿?

教えてもらったところ、「健康な成人男性の尿」が原料。健康な成人男性とは自衛隊員らしいです。
しかし尿から蛋白を精製するためにはすごく大量の尿が必要でしょうし、混入物がないように採取には気をつかうでしょうし。

妙な妄想をしてしまう・・・。

健康のために自分のおしっこを飲むひとがいますが、あながち間違いじゃないのかもしれません。

死因

2005年7月13日 お仕事
最近デスノートを大人買い?して読みました。
面白かったです。

名前を書かれると死ぬというデスノートをつかって犯罪者に神の裁きを下すキラとそれを追いかける者のストーリーです。デスノートにはいろいろルールがあって知能選が繰り広げられます。死因も指定できるのですが、指定しなかった場合は心臓麻痺で死ぬそうです。

ところで心臓麻痺とは一体なんなのか?
辞書をひくと「急性の心機能停止」のことを指すようです。
具体的にいうと心筋梗塞だとか不整脈とかマラソン中の急死とか腹上死で死ぬわけですね。最後のにあたるのいやだなぁ。

さて、前置きが長くなりましたが今日は生命保険について書きたいと思います。

死んだり入院したりするとお金がもらえる生命保険。死んだ場合についていうと、一般的に内因死より外因死の方が保険金は多いですし、内因死でも慢性の病気より急性の病気のほうが保険金が多いようです。(保険によって違うと思います)
保険金をもらうためには医師の診断書が必要で、遺族は保険金を多くもらいたいため医師との間でゴタゴタが起こったりします。

たとえば車の運転中にてんかん発作がおこりそのまま車が電柱に激突し肝臓破裂から出血性ショックとなって死亡した場合、実は死因はてんかんです。当然内因死。
もう一つあげるとうつ病で通院中の患者がちかくのマンションから飛び降り自殺した場合、うつ病の症状によって希死念慮が強くなり投身したのなら死因はうつ病で内因死になるのです。

しかしうつ病患者がなにかやらかしてかかりつけの精神科医のところに運ばれることはまれで、身体科がみることになります。しかも多くの場合自殺しよう!と思いつくのは辺りが暗くなってからで運ばれてくるのも夜か早朝。死亡確認する医者はその患者ははじめて診ますし、自分でうつ病が悪化したと診断できるはずもなく、夜中で主治医に連絡もとれない・・・で結局死因は外因死のなかの自殺で診断書をかくことが多いのではないでしょうか。

つぎにその病気が長いのか短いのかでもめる例です。
糞便による腸閉塞で死亡した患者。実は統合失調症で内服しておりその薬の副作用でいつも便秘していたようです。
で、この症例の死因は腸閉塞による敗血症とかだったとして、なぜ腸閉塞がおきたかといえば、便秘でウンチが腸につまったからで、なんで便秘になったかといえば統合失調症で薬をのんでいたから!とつなげていくと死因は統合失調症になります。発症して10年くらいなら死亡までの期間は10年。しかし薬は飲んでたけどそれが関係したかどうかは立証できないし・・・などといいながら死因を腸閉塞にすると死亡までの時間は数日から数週間。

さちは交通事故で寝たきりになった患者が10年後くらいに誤嚥性肺炎で死亡した場合死因が外因死の交通事故になることが納得いきません。どうでもいいけど。
患者、保険会社双方からあとでいちゃもんをつけられないようにあんまり深追いして死因は書いたりしませんが。

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